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不思議な力
店長情報 › 不思議な力 › 2016年03月

2016年03月31日

タンス

「なんで俺ここにいるんや?」
男は白い建物の中の白い部屋のベッドに横たわりながら、白い天井を見つめていった。

それは数日前だった。母親はいつもの通り、商店街で買い物を楽しんでいた。いや、唯一の楽しみが商店街での買い物v面方法だった。
買い物が終わると、母親は「はぁ」っと深いため息をついた。
頑張らなければならないことはよくわかっていた。
しかし、頑張れば頑張るほど自分を追い込んでいくこともわかっていたのだ。

母親は自転車に乗ると自宅へ向かって走り出した。
商店街から自宅までは自転車で10分ほどである。だが、母親にとっては時に長く、時に長い10分でもあった。
「いつまでこんな生活が続くのかしら」
母親は自転車をこぎながら意識することの自助宴會ない言葉を発した。

自宅へ戻ってくると、商店街で買った野菜などを冷蔵庫へ入れた。
そのとき、2階から物音が聞こえた。
母親は、2階へと上がる階段をゆっくりのぼっていくと、部屋のドアの前で止まった。
そして、大きく深呼吸をして部屋の中へ入った。

「え?」
母親は自分の目を疑った。その部屋は息子の部屋だった。息子とは言ってもすでに20歳をむかえている成人である。
だが、この1年、息子の様子がおかしかった。それが母親の財經股票精神をおかしくする原因であった。
息子は、タンスの前でぶつぶつ言いながら踊っていた。

この瞬間、母親は決心をしたのだった。  


Posted by 不思議な力 at 11:12Comments(0)

2016年03月29日

赤い糸の悪戯

いつもの朝より少し早い道玄坂のカフェの店内は、人がまばらだった。渋谷までの東横線の車内もほんの少し体が楽だった。
店内の静かに漂う弦楽器の優しい調べは、白い砂浜で日の出の光に青く揺れる、さざなみのように心地良かった。薄い緑の輝きを放つ、窓際のv面方法観葉植物も大きな葉をゆっくりと微笑ませている。
入口脇のレジで朝食を買った美奈子は、奥の四人掛けの席に腰を下ろした。両手を上げ、大きく足の先まで伸びをした。美奈子が身に着けている黒いカーディガンの網目は、動きに合わせて一直線に並んだ。胸の辺りのピンクのバラの絵柄も大きく広がった。
窓際に座っている真新しい黒いスーツを着たOLは、目を輝かせて赤い携帯電話でメールを読んでいる。まだ学生の香りが半分くらい残っているようにも見えた。美奈子は四年前の自分に姿を重ね、夢と希望で満ち溢れていた頃を懐かしんだ。
中央の大きな円卓には、よれよれのスーツを着た数人のサラリーマンが腰を掛けている。皆、眠そうで、ぼうっとコーヒーを飲んでいる。所々から、タバコの煙が上がり、店内は朝靄に包まれるようだった。

そうした光景を眺めながら、美奈子は満員電車で縮んだ体をほぐす。そこはお気に入りの席だった。店内全体が見渡せ、気持ちも大海原のようになるからだ。
美奈子はキャラメルラテを飲みながら、頬を大きく膨らませ、ナポレオンパイを味わった。ふわふわのクリームに包まった紅色の野いちごの甘酸っぱい香りが、口中一杯にぷわりと流れる。至福の自助宴會一時が全身を駆け抜ける。美奈子の朝は毎日そうして始まった。
スイーツのほど良い甘さが脳細胞の隅々までに行き渡ると、美奈子の寝ぼけた頭は目を覚ました。
デザイナーは頭の中でイメージを大きく膨らますのが仕事だった。脳をフル回転させる状態を保たないといけない。だから、糖分を補給することは、良いウォーミングアップになる。そう納得することが、朝からスイーツを堂々と頬張る美奈子の大儀名分だった。

ナポレオンパイを片づけた美奈子は、漸く手に入れた薄ピンクのスタールビーを眺めた。頬を伸ばしながら右手を少し上げ、天井の明かりに透かしてみた。六条の煌きが美奈子の瞳を撫でる。胸中に一粒の幸せが拡散した。喜びの余韻に酔いしれながら、優雅にラテを口につける。その流れを何回も繰り返し、心をピンポン玉のように弾ませ、月曜日の早めの朝を浮き浮きと楽しんだ。
美奈子は六条の煌きを見るうちに、占いの館の老婆の言葉を思い出した。「彼氏からアプローチしてくるようになる」という言葉だった。
(本当なのかな。楽しみだわ。会社に着いたら、川村さんに早速試してみようかしら。レッドローズ作戦と名づけようかな。でも、ダメ!もし、そんな力がなかったら。また、恥をかくことになる。二度続けての失敗は、さすがにヤバイわよね・・・・・・)
美奈子は銀色のフォークを口にくわえながら、顔に険しい山を浮かべた。
暫くして美奈子は、急に目の前で大きく両手を叩き、天井を見上げた。顔から大きな笑みを零し、瞳を大きくした。

(直樹で試してみるのが無難だわ。彼なら後輩だし、私の番犬みたいなものだから失敗しても多分大丈夫よね。ヨシ!トライアルローズ作戦と名づけよう。成功したら、すぐにレッドローズを実行するわ。そうすれば、私にもいよいよ本当の春が、えへへっ・・・・・・)
美奈子は暖かい風が流れ抜ける草原のように顔を広げ、両手を目の財經股票前で合わせ、胸を躍らせた。勢い良く立ち上がると、軽いスキップを踏んで店を出た。
道玄坂の上り道は体が軽かった。サラリーマンの人の波を軽快にかき分けて進んでいく。美奈子が身に着けているヒップハングでプリーツタイプの白いミニスカートも、愉快に裾をなびかせていた。  


Posted by 不思議な力 at 11:17Comments(0)

2016年03月23日

宇宙は一人ニ

宇宙は小さく呟き、携帯を閉じた。それから、両手を上に伸ばして「うおー」と軽く伸びをすると、バタンとベッドに横になった。
今朝早く田舎の実家を発ち、電車を乗り継いで東京にやってきた。明日から早速、大学のオリエンテーションが始まる。必死の受験勉強の末に合格した希望大学の靜脈曲張手術希望学部。しっかり頑張ろうと胸を膨らます。
ベッドから見上げる天井は、少し高めでスクリーンのように真っ白だ。そこに、明日から嬉々として大学に向かう自分のイメージ映像を流す。華麗にプレゼンテーションを行い、成績には‘A’がずらりと並ぶ。そのセルフイメージに、宇宙は一人ニヤニヤした。

そのニヤけたままの口元から、よだれが垂れているのに気付き、半開きの口のまま慌ててベッドから体を起こしたときには、もうすっかり日が暮れていた。
「寝ちゃった」
二階の紅の部屋から、一階のキッチンに降りる。いまだに人は見当たらない。けれども、玄関もキッチンも、一階のスペースのほとんどに明かりがついているから、誰か帰ってきているのだろう。
宇宙は、初めてシェアメイトと顔を合わせるときの迪士尼美語 好唔好自己紹介を頭の中でシュミレーションしながらキッチンに入り、冷蔵庫を開けた。

「無いし」
大きな冷蔵庫のすぐ横にあるごみ箱に、ケンタッキーの赤い箱がしっかりと捨てられていた。昼に買ったフライドチキンの残りを、電子レンジで暖めて食べようとしたのに。
箱に自分の名まえを書くのを忘れていた。大家さんからもらったメールに明示してあったのを今頃思い出す。
「名まえの無いもの、それはみんなのもの」

宇宙はごみ箱に面と向かい、頭を三十度ほど傅(かしず)くと神妙な態度で目を伏せた。こうしてこの新参者の青年は、シェアハウスからの教育を受けたのだった。
「ヘイ、ニーちゃん、なに探してるの?」
「いや、見つけた。もういいです」
思わず答えて振り返ると、キッチンの入り口に、国籍不明のHKUE 認可性男の人が立っていた。肌の色が浅黒く、目の大きなアジア系の外人だ。シェアメイトの一人か。  


Posted by 不思議な力 at 13:12Comments(0)

2016年03月18日

妙なる音

漢陽でも牡丹閣に引けをとらぬと称されるこの妓楼は、縦にも横にも広がりのある巨大な楼閣だった。それだけに部屋数も多く、さらに何の趣向なのやら廊下は複雑に入り組んでいて、人探しは困難をきわめた。
ジェシンは逸る気持ちから、廊下で行き違う客の寰宇家庭肩をいちいち掴んで振り向かせては、ユニに似た青年を見なかったかと尋ねて回った。いかめしい軍服姿に羽根飾りの付いた帽子を戴いた彼が鬼気迫る様相で問いただしてくると、男達はつかの間の夢から突然地獄に突き落とされたかのように蒼白になり、みな一様にぶるぶると震えながら首を横に振る。人はみな何かしら疚しいところがあるというので、この場に似つかわしくない捕盗庁の役人がいきなり目の前に現れれば、度肝を抜かれるのも無理はないだろう。普段のジェシンならそれくらいは推し量ることもできるが、気が立っている今はそんな客達の態度がただただもどかしく、癪に障った。
「くそっ!ヨンハのやつ、あいつをどこに隠しやがった!」
腹立ち紛れに壁に思い切り拳をめり込ませると、部屋から悲鳴が上がった。間を置かずして、蜜のようにとろける一時を堪能していたであろう両班と妓生が、哀れにも肝を冷やしながら脱兎のごとく部屋から飛び出していった。
興奮冷めやらぬままにジェシンは開け放たれた戸を無遠慮にくぐり、部屋の中に上がり込んだ。床の上には無数の酒瓶が転がっている。宝石を惜しげもなく散りばめた簪や櫛や指輪などの装身具、さらには両班が脱がせたであろう極彩色のチマチョゴリなども散乱している。そういったいかにも値の張りそうな品々を容赦なく足で払いのけながら、彼は窓辺に立った。欄干を軋むほど握り締めて見上げた月は、つんとした澄まし顔で夜空に浮かんでいる。

彼の口からやるせない溜息がこぼれた。
「同じ建物にいるはずなのに……。どうしてすぐに見つけられないんだ?」
ここに飛んで来ればすぐに会えると思っていた。なのにお調子者の寰宇家庭親友と二人きりにしてしまったせいで、こうして会えずに空回りばかりしている。この楼閣は広すぎて、全ての客をつかまえるのは途方もない作業だった。まるで目隠し状態で出口のない迷路に囚われたようだ。ジェシンは頭をかかえた。
下の方から哀切を帯びた伽耶琴【カヤグム】の音色が聞こえてきた。どこかの部屋の妓生が弾いているだろう『玉樹後庭花』。それは耳に心地よく、なぜか彼の心の琴線を震わせる。特別弾き方が巧いというわけでもないのだが、何か掻き立てられるものがあった。
近くて遠い彼女は、今どこにいるだろう。こうして同じ月を見ているだろうか?伽耶琴が奏でるこの亡国の調べが、彼女の耳にも届いているだろうか?
早く、一刻も早く見つけてやらなければ。
神経を研ぎ澄ましながら、しばらくその音色に聴き入っていたジェシンは、はっと目を見開いた。

木の葉を隠すなら森の中ーー。

灯台もと暗し、とはこのことか。
すっかり忘れていた。探すべき相手が、男ではないことを。
客の姿ばかりを探していて、客と同じ数だけこの楼閣にいる者達の如新nuskin香港存在がまるっきり頭から抜け落ちていたーー。
ジェシンは風の速さで部屋を駆け出した。
再び無人となった部屋に、我が物顔の月が、気まぐれのようにその身に纏う光を投げ掛けた。  


Posted by 不思議な力 at 15:30Comments(0)

2016年03月17日

向く雪舞だが

思わず変な声が出てしまい、雪舞は慌てて口を閉ざした。上座から皇帝と長恭が不思議そうにこちらを見ていた。
「雪舞、かように驚くとは如何した?」
「で、殿下、何でもないの!皇帝陛下、大変失礼致しました──!」
鄭児は俯いて笑いを必死に堪えていたが、頬を赤らめ長隆野生動物世界た雪舞がおずおずと彼女に向き直ると、毅然と顎を上げて何とか表情を引き締めた。
「王妃、これは大事なことよ。皇后であるわたくしが陛下の御子を産むことは、皇家の安泰の為にも決しておろそかにはできない務めだわ。もし御子を授かる為の秘術があるのなら、是非、天女である貴女から直々に伝授して欲しいの──」
それから鄭児は、彼女にありとあらゆる質問を浴びせかけた。根掘り葉掘り秘めるべき閨事について聞かれてしまった雪舞は、誓いを立てた以上答えないわけにもいかず、のぼせそうになりながらも一つ一つ律儀に明かしていくのだった。

夜、蓮華の燭台に灯る仄かな明かりを見つめながら、皇后とのやり取りを思い出す雪舞は百面相をしていた。
愛しい王妃の肩口に顔を埋め、蘭陵王は甘い声で訊ねる。
「きみは今、何を考えている?──この私のことかな?」
「ええ、そうね……。いえ、皇后陛下のことかしら……?」
二人きりだというのに気もそぞろな雪舞に、不満を覚えた彼は悪戯で気を引くことにした。彼女のreenex 效果夜着の帯を、さらりと解いてしまう。
「──殿下?」

夜着がはだけてようやく気持ちが夫に向く雪舞だが、合わせ目から滑り入る手を止めようにも時は既に遅い。自分を見下ろす夫の秀麗な顔が、まるで玩具を取り上げられた少年のようにむつけていた。
「きみは今朝から皇后のことばかり気にしている。この私のことなど二の次だ」
「そ、そんなことはないわ──」
「いや、言い訳は聞かぬ。つれないきみを、今から私のことしか考えられないようにしてやる」
抗議の声は、重なった唇によって深く封じ込められた。

後日、皇后が何処から仕入れたという夜伽reenex 膠原自生の「秘術」を酒の席で皇帝から聞いた五弟・高延宗が、それを四兄・高長恭に面白可笑しく語り聞かせたが、
──いったいそれのどこが秘術なのだろう?
と首を傾げるばかりであった。  


Posted by 不思議な力 at 12:27Comments(0)

2016年03月14日

奇貨居くべし

叔父が大枚をはたいて買ったのは、「奇洋」という名の奇貨であった。
あの娘は必ずや我が一族に好機をもたらしてくれる、と近頃口癖のように繰り返す叔父。すっかりキ・ヤンという娘の素養に惚れ込み、傾倒しているようだ。政略戦争の銅鑼灣 髮型屋手駒にするためとはいえ、己の養女として屋敷に迎え入れたヤンにわずかながら情も移りつつあるとみえ、日に何度も修練の様子をたずねたり、講釈を行う私にわざわざ差し入れなどを持たせようとする、といった寵愛ぶりだ。剛毅で勇猛な将軍として大元帝国に名を馳せる叔父は、実は人一倍情に厚い男であることを、甥であり側近である私は誰よりも良く知り得ている。それは私が尊敬してやまぬ叔父の美点であり、また同時に、懸念する欠点でもあった。

叔父は今宵も夕餉後の酒席にあの娘を呼んだ。挨拶を済ませ、椅子に腰かけるキ・ヤンのその一連の所作を、叔父は小さく頷きながら上機嫌に眺めている。まるで完成された芸術品を愉しむかのような、満ち足りた眼差しだ。
「今、ちょうどタルタルとそなたの話をしていたところだ」
「どのようなお話をなさっていたのです?」
ヤンが叔父に酌をしつつ、微笑んだ。
「そなたは『奇貨』で、この私は『呂不韋』なのだという話をな。ヤン、そなたもそうは思わぬか?」
「私が奇貨で、将軍が呂不韋、ですか」
叔父の言葉を繰り返し、ヤンは目を細める。
かつて秦の商人・呂不韋が、趙の人質となっていた秦国王子・子楚を手助けし、恩を売ったという逸話がある。呂不韋は金の力に物言わせ、みすぼらしいなりをしていた子楚を玉座に据えてやり、その見返りとして秦国丞相の地位にまで上り詰めたのだ。この子楚の雪纖瘦子であり後を継いで秦王となるのが、かの有名な始皇帝・嬴政であり、呂不韋の権勢は政の時代にまで続いた。

「呂不韋は奇貨、すなわち人質であった秦国王子に投資することで、後に権力をほしいままにした。ペガン将軍は養女である私を掖庭宮に送り、皇帝の側室という後ろ盾を得ようとしている。──将軍と私には、確かにあの二人と相通ずるものがあるのかもしれません」
叔父は大口を開けて豪快に笑った。史書にも通じている聡明なこの娘がますます気に入ったと見える。
「だが、ヤンよ、どうやら我が甥はその考えが気に入らんようだ」
「タルタル殿が?」
二人が同時に私を見る。黙って話を聞いていたが、思わぬ飛矢であった。

「叔父上、私は何も申しておりません」
「気に入らん、とそなたの顔に書いてある」
叔父が不敵な笑みを見せる。嫌な予感がする。こういう時の叔父は、私をからかいたくて仕方がないのだと知っている。
「ヤン、そなたの師匠にも一献注いでやってはどうだ?愛弟子のそなたが私にばかり構うので、あの朴念仁がああして膨れているのであろう」
「タルタル殿はそのようなお方ではありません。きっと私がお二人の邪魔をしてしまったので、少々お気に召さないだけでしょう。──私の目には、普段とお変わりないように見えますが」
「いや。あのように涼しい顔をしているが、内には激しいものを秘めているのだ。叔父の私には分かる。きっと今も、そなたを独占されて苛立っているに違いない」
叔父とヤンは、揃いも揃って「絹の道」を渡ってきた珍品でも眺めるかのごとく、熱心に私の顔を観察する。呂不韋と奇貨の話題から、何故私の話にすり替わっているのか。どうも解せぬ。  


Posted by 不思議な力 at 13:07Comments(0)

2016年03月11日

本当の親子のように

「お二人は本当の親子のように、仲がよくていらっしゃるのですね」
側室推挙の折のことだ。ヤンが師であるタルタルに向けて、そんなことを言ったことがあった。
確かにタルタルにとって、育ての親はあの叔父といっても過言ではないだろう。

ペガンには子がおらず、必然的に彼の弟であるマジャルタイの長子、ペガンにとっては甥にあたるタルタルが一族を率いる次期後継者として指名された。
兄のペガンが勇猛豪傑な戦士として若き頃より戦場を駆け回ってきたのに対し、弟のマジャルタイは生来寡黙なたちで争いを好まず、書斎にこもって学問に親しむことを何よりの愉しみとした。
学者肌であるマジャルタイの血をひくタルタルもまた、幼少期は父の抱える膨大な書物を友として育った。だが頃合をみて、大将軍の誉れ高き叔父のもとへあずけられることになる。

戦に明け暮れ、大都へ帰還したとしても長くは居所に留まることのないペガンだったが、タルタルは彼から直々に武芸を教わった。厳しい訓練に心身疲弊した時には、いつか実の父がねぎらいとともにかけてくれた言葉を思い出した。
「タルタル、いつかお前が兄上を補佐するのだ。あの方は時として大変な無茶をなさる。お前は様々な知識を得、力を蓄えなければならぬ。つねに兄上のお側にひかえ、お前が最良と思う道へ導いて差し上げるのだよ」
ペガンが戦地に赴き留守のあいだは難解な書物で兵法を学んだ。無論、武芸の鍛錬も怠ることはなかった。努力家の彼は一度たりともペガンの期待を裏切ったことはなく、叔父は打てば響くような聡い甥を実の子のように可愛がった。
「タルタルが乳飲み子の頃はよく、私が膝に乗せてあやしてやったものだ。それは賢い子でな、頬をつついたりしてもむずがることもなく、大人しく抱かれているのだ。私が炙りたての羊肉を食べさせてやろうとしたら、まだ歯も生えておらぬ子には早すぎる、とマジャルタイに止められたこともあったな。だがあの落ち着きはなった面構えは、どう見ても赤子のものではなかったぞ」

豪快な笑い声をあげるペガンを、杯をちびちびと傾けながらヤンが見つめている。タルタルらが口にしている酒気の強い焼酎ではなく、まろやかで口当たりのいい馬乳酒だ。ヤンが酒を得意としないことは既に彼らの知るところだった。
「乳飲み子に羊肉の塊を差し出すとは、実にペガン将軍らしいですね」
「ヤン、そなたはこの養父をからかっているのか?」
笑い混じりのヤンに言い返すペガンはどこか楽しそうだ。養女として引き取ったヤンに、早くも情が移り始めているらしい。
タルタルは酒で唇を潤しつつ、ちらと叔父の上機嫌な横顔を見やった。
「叔父上はなにかと、私に幼子らしからぬ扱いをなさいましたね」  


Posted by 不思議な力 at 13:00Comments(0)

2016年03月09日

パートナーとの価値観

結婚観や恋愛観は、ひとそれぞれである。
同じ価値観を共有する人とパートナーシップを組むのが、当然ながらベストだ。
が、少し違う場合は、お互い調整願景村 洗腦しあったりして、価値観を近づけていく。
これは、価値観の調整が可能な場合に限る。

どう見ても、不可能な場合は、最初からパートナーシップを組むどころか、
近寄りもしない。

たとえば、結婚していても、その時々に家庭外恋愛した相手との子供を妊娠し、産みたい、と、
夫に伝え、夫はそれを了承する、仲良し夫婦がいるとする。
「妻の自己チューは、素晴らしい」と、夫は妻を尊敬するとする。
一般的な常識からみると、「あほか」である。
が、彼らには一度常識をコッパミジンにぶち壊し、また価値観を築き、また壊し、また築き、
そして、今の価値観にたどり着いたとする。
なら、それでいいのではないか。
彼らがそれで幸せで、非難されようが探索四十馬鹿扱いされようが、他人に迷惑をかけなければ。
他人は、別に介入する権利はない。
(子育て、子供への影響を考えると、世間との風通しを良くして、世の中の人々の考え方も学べるようにするべきだと思うが)

私は、どんな100万回のスクラップ&ビルドの経緯の上に築き上げられた価値観であったとしても、
子供は、誰の子供なのかわからないような妊娠は、戦争や犯罪、世の中の悲劇が生んだ場合による、負の結果である場合しかないと思っている。
避けられない悲劇的な結果を、あえて能動的に選択して行動して、負の結果を自ら作り出すなんて、私には考えられない。
誰の子供かわからなくても、妊娠した女性の場合、おおよそ、何人かの男性の候補は見当がつく。
が、夫である男性の場合は、まったく自分の血が混じっていないのである。
あるいは、混じっているのか、混じっていないのか、自分の子供なのか、そうでないのか、
それすらもわからない。
過去に、誰の子供なのかわからない子供を妊娠し、その後に、新しく出合って、新しいパートナーと子供を育てていくのならわかるが、
パートナーシップは組みつつ、今後も誰の牙齒護理子かもわからない子を妊娠する妻を常に容認し、幸せで落ち着いた子育てや夫婦生活を送るなどとは、考えられない。
「へ~、変わった人もいるものだね、あほちゃうか」と、自分のコトととらえず、もはや議論の接点は全くない。  


Posted by 不思議な力 at 15:37Comments(0)

2016年03月08日

一人の心

「人数が増えて、家が狭くなった。ババサマには静かに養生してもらいたかったのだが、子供らはちょろちょろするし。」
イワクスはババサマたちのために銅鑼灣 髮型屋入口を挟んだ別棟をたてようと皆にきり出した。
だが、ばばさまは、
「わたしは、子供らの動き回るのを見るのが一番嬉しい。

ムラに戻ることになって、やはりみんなが死に絶える姿を見送らねばならぬのかと悲しんでいたが、そうではなかった。滅亡の下でこの子らはきっと生きぬいて新たな世を開く。子らは次の世への望みのあらわれじゃ。目の前で見ることができて、なにより有り難く思っている。狭さなど苦にならぬ。」
自分たちのためなら新たな家はいらぬと答えた。
しかし、この大人数ではいかにも狭すぎる。それに男たちは、新たな暮らしに張り切っていて、子供のように大仕事を欲しがっていた。
これから真冬にかけての作業は困難だが、地面を背丈の半分も掘り込んで、土壁をのせる方法にする。平地に建物をのせるより、柱や屋根の材を節約できる。小さな見かけの割に中は広く、冬は暖かで居心地はいいはずだ。
そうはいっても柱の材や屋根の萱は多く必要で、あくる銅鑼灣 髮型屋日から採りに出ることになった。イワクスはイブキを伴って森の木を伐りに行く。カタカシは
「いい材のあるところへ案内する。」

といって、二人の先に立つ。
ニギホは雪が積もる前に木の実草の実を採りに行きたかった。ミツハとテグルミも一緒に出掛ける。カツラとキノは家の前に干した草や木の実の番をいいつかった。
萱集め役のトギホが家の中に残った。
「どうしたのじゃ、トギホ。」
ババサマがきく。
「なんだか、ニギホが遠くなったようで、何を思っているのか分からなくなったんだ。以前なら、離れたところでも、互いが呼び合っているのが分かったのに。側にいても、話をしても、本当の気持ちとは違う感じがする。なんだか、薄い膜の向こうにいるみたいなんだ。」

「そなた、ニギホの他に気持ちが伝わりあう人はいたか?」
「いや、ニギホだけだ。」
「普通の人は、他人の気持ちを知ることはできぬ。ことばを尽くして己の銅鑼灣 髮型屋意を伝え、相手の思いを解ろうとはするが、思いそのものが直接心に入って来ることはない。だが、そなたらは特別の絆を持っておった。」  


Posted by 不思議な力 at 13:21Comments(0)

2016年03月04日

私は何歳まで

平成25年のデーターでは,日本人男性の平均寿命は80.21歳である。つまり,私には平均的には『16年』が残されていることになる。
もう一つのデータ,ある保険会社のものであるが,65歳男性の雪纖瘦平均余命というのがあった。これによると,『19年』だそうである。こちらの方が3年ほど長い。

今年の春から初夏にかけて,私は脳の良性腫瘍と腎臓の悪性腫瘍の手術を受けた。
どちらも順調に回復をしているが,そちらの方のデータによると,5年生存率は80%ということになっている。つまり,少なくとも5年の命は医学的には”あるらしい”ということになる。

表題にもあるように,「生きられる」の雪纖瘦ではなく「生きる」には,自分の中に『覚悟』というものがなくてはいけない。
覚悟とは,悟りを自覚するということである。
64歳の我が身は,身体的には幾つかの問題点があるものの,寝込んだりすることもなく,非常に健康的な生活を過ごしている。仕事を辞めてから,すべてを受け止めようとする前向きな姿勢に自分でも驚いている。
こうした状態の中で,やはり,「生きる」意欲を示さなくてはいけないと思う。
人生の先輩から聞くと,70歳を超える雪纖瘦
と心身ともに衰えを感じるということである。だとすると,70になる迄のこれからの6年を「生きる」覚悟を持たなければならないということになる。
  


Posted by 不思議な力 at 11:59Comments(0)