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不思議な力
店長情報 › 不思議な力 › 月に恋した

2016年05月20日

月に恋した

中学一年生の時からすでに進学塾に通っていた月子は、前々から地区で最難関の高校を目標とさせられ、勉強してきた。今年になって学校の先生も、塾の先生も、口を開けば「受験生、受験生」と言うのにうんざりしていた。多感な時期にその言葉は、月子を「受験」という断崖絶壁に追いつ暗瘡啫喱めていくようなものだった。月子の不安な気持ちに呼応するかのように、成績が、絶頂期だった中学二年生のときからじりじりとではあるが下がってきていた。それゆえになおさら耳の痛い言葉なのである。中でも。
(授業の度に言う田村先生!)
塾の数学の先生だ。今年、塾での月子のクラス担任になった。以前の数学の先生はおじいちゃんのようで親しみが持てただけに、なおさら、田村の、受験を意識させる、身にまとう冷たい雰囲気が嫌いだった。色白で眼鏡のよく似合う、やや細身の男性で、寒色のスーツのときが多い。
(そうそう、こういうストライプのワイシャツを着ているときなどさらに近寄りがたい気がする。私だけかな、こんな風に感じるの)

「野乃原」
(こうやって人のこと無機質に呼ぶのよね)
「野乃原、君のことですよ。呼ばれているのが判っていますか?」
(!)
月子はぼんやり田村の容姿を観察していたため、ここが塾で、数学の時間であることを完全に忘れていた。
「は、はい」
罰が悪そうに月子は目をそらして返事をする。
「さっきから、ぼんやりして、君は授業を聞く気があるんかね?」
この冷たい声が心にぐさぐさくるのだ、と月子はやはり思う平價機票。今まで先生たちに苦手意識を持ったことはなかった。しかし。
(やっぱり苦手だ、この人)
「返事をしなさい」
「はいっ。すみませんでした」
と謝りつつ、目は反抗心満々で月子は田村を見返した。田村はそんな月子にため息をつく。
「こんな反抗的な生徒は初めてですね。君は受験生の自覚があるんか?受験では」
「一点に何人もが並ぶ、ですね!授業を中断させてすみませんでした。先をどうぞ!」
いつも何かしら怒られて、授業を説教で中断させることが多いため、月子はクラスメイトに申し訳なく思っていた。だから田村の言葉を遮ってプリントに目を落とした。
(中三になって何度目だろう。もううんざり!)
月子をさらに苛立たせるのは、これまで教わってきたどの先生よりも田村は授業が上手いことだ。少し早めのペースだが、要領を得た説明で、解りやすい。田村の救世軍卜維廉中學手にかかれば、難問もすんなり解けてしまう。
(いつかギャフンと言わせてやるんだから!)
「野乃原!」
「はいっ!」


Posted by 不思議な力 at 13:10│Comments(0)
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